Date:  Wed, 25 May 2005 12:32:43 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2005-18号】

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                          No.93 2005/05/25

■ I N D E X
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┣【Topics】オブLOVEイベント参加登録開始!
┣【Topics】JUDEを使ったモデリングセミナーを定期開催!
┣【PF】価値と原則[2]
┣【PF】Agilerツール紹介[0] Agiler Bag
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

〇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━T o p i c s━
 〇  オブLOVEイベント参加登録開始!
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お待たせいたしました。ようやくイベントの参加登録を27日(金)から受付開始
の予定です。主賓講演は、アイ・ティ・イノベーションの林 衛氏。プロジェク
トマネジメントについての観点から、『IT開発現場の改革に向けて』をテーマ
にお話いただきます。気になるワークショップの方もすべて決定しました。毎
回好評ライトニングトークスのスピーカーも募集します!奮ってご参加くださ
い。

詳細はこちら:http://www.ObjectClub.jp/event/2005summer/ 

〇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━T o p i c s━
  〇  JUDEを使ったモデリングセミナーを定期開催!
  〇 〇━━━━━━━━━━━━━ ━━・ 

JUDEを使ったモデリングセミナーを5月末から開催致します。

【ワークショップ中心】、【講師と受講者とのコミュニケーション】を重視!

【受講者の声】
 ・途中の質問をする度、実例を出して分かるまで対応して頂き理開しやすかった
 ・知識→具体例→演習の流れがよかった
 ・クラス設計せずにコーディングしていたが、無駄な時間を過ごしていた
 ・やり方、テクニック等が聞けて、現場で実践する足がかりになりそう

●セミナーHP  :http://po2d.esm.co.jp/
●セミナー概要:http://po2d.esm.co.jp/po2d_leaf.pdf

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■
┗【PF】価値と原則[2]

今回は、ソフトウェア開発とプロジェクトファシリテーションとの関係につい
て書きます。

●PMとPF

プロジェクトにおいてのファシリテーション技術は、プロジェクトマネジメン
ト(PM)の一部と見ることもできます。しかし、PMが「計画達成のマネジメント」
に重点を置くのに対してPFは「協調の場作り」に重点を置いています。PM は、
計画の立案と実行、差異に注目した管理に重点が置かれ、どちらかと言うと
「コマンド・コントロール型」のマネジメントスタイルが背後にあります。こ
れに対してPFは、その場その場の変化に対応し、チームが協力し合って創発的
に成果を出していく、「リーダーシップ・コラボレーション型」の新しいチー
ム作りの形なのです。

PMの重要性は、ここでは強調しておきたいことです。PMは成果を計画的に出し
ていくために必要な技術です。これにたいして、PFはプロジェクトの現場を活
性化し、モチベートし、協調関係を作るために必要な技術です。PMをプロジェ
クトの「動脈」とするとPFはプロジェクトの「静脈」といえるかもしれません。
静脈が詰まってしまっては、動脈がうまく働きません。

近年、プロジェクトの成功が、実はPFに掛かっているのではないか、と気づい
ている人たちがいます。ソフトウェア開発プロセスの分野で例を挙げましょう。

●ソフトウェア開発とPF

これまで、ソフトウェア開発プロセスといえば分析や設計、実装、テストの手
法とそれらの手順を定義したもの、という管理的で味気ないものでした。しか
し、2000年に発表されたKent BeckによるXPおよび2004年のXP第2版[Beck04]
では、「コミュニケーション」、「フィードバック」、「シンプルさ」、
「勇気」、「尊敬」といった人間の持っている本質に価値を置き、ソフトウェ
ア開発プロセスをそこに参加する生身の人間の側からの視点で解体・再構築し
てみせました。 また、Alistair CockburnもCrystalClear[Cockburn04]におい
て、そこに参加する人々(People)を中心にすえ、プロジェクトルームの作り方
からコミュニケーション手法まで、ファシリテーションに大きな力点を置いた
方法論を打ち立てています。さらに、Jim Highsmith[Highsmith04]は、「計画
―実行」型のプロジェクトではなく「発想―探索」型のプロジェクトにおいて
必要とされる、まったく新しいマネジメントスタイルを体系化し、アジャイル
プロジェクトマネジメント(APM)という領域を開拓しています。

そして、これらの方法論者たちによる2002年の「アジャイル開発宣言」
[AgileAlliance02]では、「プロセスとツールよりも個人と対話を重視する」
という宣言で、ファシリテーションの重要性が唱えられています。

ここでは、ソフトウェア開発の中で、特にプロジェクトにおけるファシリテー
ションにフォーカスしてその手法を体系化してみたいと思います。アジャイル
開発やXPそのものを取り入れることは難しいプロジェクトや組織もありますが、
その場合でも、ファシリテーション技術を取り入れることは可能です。また、
ソフトウェア開発以外のプロジェクトでも、プロジェクトファシリテーション
を取り入れることができるのです。

21世紀のソフトウェア開発プロセスでは、ファシリテーションの重要性がクロー
ズアップされています。(平鍋)

[Beck04]:
    Kent Beck、
    Extreme Programming Explained: Embrace Change(2nd)、 
    Addison-Wesley、2004
    2000年にソフトウェア開発方法論のパラダイムシフトをやってのけた「事
    件」、XP の原点。2004年に第2版が出版された。方法論の体系は、「価値」、
   「原則」、「実践」の三階層。
    http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/0321278658/xpjp-22

[Cockburn04]:
    Alistair Cockburn、
    Crystal Clear: A Human-Powered Methodology for Small Teams、
    Addison-Wesley、 2004
    ソフトウェア業界の「文化人類学」。どういったチームが高い生産性を挙げ、
    創造的に共同作業するか、を観察し、そこで発見される特性についてまとめ
    ている。ほとんどのチームが「ホワイトボードを使っている」という発見。
    チームを「安全地帯」に導く、というコンセプト。 本書では、方法論を
    「特性」、「戦略」、「テクニック」の三階層でまとめている。
    http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/0201699478/xpjp-22

[Highsmith04]:
    Jim Highsmith、
    Agile Project Management、
    Addison-Wesley、 2004
    「Plan-Do 型」のプロジェクトマネジメントではなく、「Envision-Explore」
    型のプロジェクトマネジメントの新しい枠組み。この本でも、方法論全体を、
    「価値」、「原則」、「実践」の三階層にまとめている。
    http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/0321219775/xpjp-22

[AgileAlliance02]:
    Agile Alliance, Agile Manifesto、
    http://www.agilemanifesto.org/、 2002
    四つの宣言文は、現在のソフトウェア開発に大切なことを、強く胸にきざま
    せてくれる。
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■
┗【PF】Agilerツール紹介[0] Agiler Bag

■ツール紹介

オブジェクト倶楽部懸田です。皆さん、元気に「Agi(アジ)」ってますか?今日
は、ちょっと毛色の変ったお話をします。Agilerはツールにこだわる人が多い
と思いますが、皆さんはいかがですか?今回は私が今年に入って使用している
ツールを紹介します。名付けて「AgilerのためのSCISSORS CASE - Agiler Bag」
です。

■ Agility!?

AGILITYは(株)リベロワールドが制作、販売しているファッショナブルなシザー
ケースを中心とした腰につけるバッグの総称です。インターネットの販売[*1]
や 、店頭販売も行っています。AGILITYのコンセプトとしてWebサイトには次の
ように書かれています。

アクティブワーカーとは・・・?
この「アクティブ・ワーカー」とは、もちろん造語です。
私たちAGILITY(アジリティー)は、私たちが作るバッグのコンセプトをこの言葉
に詰め込みました。

私はこのコンセプトを見た瞬間に勝手に脳内変換をしました。

この「アジャイル・ワーカー」とは、もちろん造語です。
私たちAGILITY(アジリティー)は、私たちが使うバッグのコンセプトをこの言葉
に詰め込みました。

「AGILITY」という名前に運命を感じてしまった私は、いてもたってもいられず、
南青山の店頭へ走ったのは言うまでもありません。

■シザーケースという道具

シザーケースは、元々は美容師が、様々な鋏を切り替えながら使用するため、
腰に鋏ケースをつけて、素早く鋏を切り替えるようにしたバッグのことです。
元々はファッション性よりも、職人の必要性から来ています。大工さんなども、
腰に工具入れをぶらさげていますね、それと同じです。ここ数年は、若者の
ファッションとして町中でシザーケースを身に付けている姿を見かけるように
なりました。AGILITYもそういったファッション向けの製品でもありながら、本
来の美容師の方々にも愛用されている、ファッショナブルな職人の道具なので
す。

私がシザーケースを見て、真っ先に浮かんだのは「ホワイトボードマーカーと、
B6カード、付箋が携帯できそう」ということです。オブジェクト倶楽部内のミー
ティングでは、ここ数ヶ月は皆立ったまま、ホワイトボードの前に立ち、マー
カーを握りしめてグループマインドマップを描きながら、会議にいそしんでい
ます。こういった非常にアクティブな会議の場では、いちいちホワイトボード
のマーカー置きにマーカーを置くのが面倒になってきてしまいます。更には、
渡辺幸三さんの影響もあり「かすれたマーカは悪」という思想から、マイマー
カーを携帯するようになりました。

こういった側面から、ホワイトボードマーカーを始めとするツールの携帯と、
AGILITYの運命的な名前と、腰にぶらさげるシザーケースは急速に結びついたの
です。

■問題と解決

南青山のショップに、B6カードと、A5のカード、そしてホワイトボードマーカー
を握りしめ向いました。当然、ホワイトボードマーカを持ってくるような客は
私以外にはいるはずもありません。ここは正直に店員に用途を説明したところ、
実はその時の店員さんはバッグのデザイナーでもあったのです。いろいろと相
談にのってもらいましたが、一般的なシザーケースでは残念ながらB6カードは
サイズがギリギリで綺麗には収納できませんでした。そこで勧められたのがカ
フェバッグ[*2] です。シザーケースと比べると横幅がほぼ倍になりますが、ポ
ケットの幅といい、マチといいB6カードやホワイトボードマーカが綺麗に収納
できるサイズです。しかも、横幅が広い分、腰に巻きつくような感覚で、案外
体にフィットしました。

さすがに、椅子に座っている時は場所によっては邪魔なのですが、立っている
時はまったく気にせずに使うことができます。お値段は結構するのですが、「こ
こはAgilerの人柱にならなくては」、と勝手に使命感に燃えて購入しました。
(もちろん妻には内緒です)

それからは、会社の机の引き出しにしまっておき、出社するとまずカフェバッ
グを装着してから仕事をする、というスタイルになりました。

■今後の戦略

ここ数ヶ月使用していますが、利点を欠点を挙げてみます。

利点:

 ・ すぐにマーカを出せるのは嬉しい
 ・ 付箋やカードなども携帯できるので場面によっては嬉しい
 ・ 目立つ

欠点:

 ・ 座っている時に邪魔
 ・ 間違えて付けたまま家に帰ってしまう
 ・ トイレで邪魔

特に、出社してすぐに装着したはいいのですが、一日会議がなかったりすると、
かなり空しい気持になります。この辺りは、自分自身を励ましてどうにか我慢
しています。1日に会議が連発して、ファシリテータ役をする際には、カフェバッ
グの存在は非常に有り難いです。変に会議好きになってしまうのも問題がある
気がしますが...。

今後の戦略としては、Agiler御用達の道具に合わせたサイズ、デザインの企画
を提案してみようかと考えています。皆さんも、興味があって、財布に余裕が
あって、「駄目でもファッションとして身につければいい」というような太っ
腹の方がいらしたら、AGILITYを身につけませんか?その際には、是非店頭に行っ
て身に付けてみることを強くお勧め致します。

「AgilerのAGILITYによるAgilerのためのバッグ」を目指して.... (懸田)

[1] : http://www.libero-w.co.jp/index.html

[2] : http://www.libero-w.co.jp/f_web_cafebag_01.html
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

アンケートも今週で60回目!いつもご協力ありがとうございます!
さて今週は「仕事で悩み抱えてますか?」のホントのところ。悩みがあると、
思うように仕事がはかどりませんよね。その悩みの原因、何ですか

  まったく悩みないです。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=60&choice=0
  技術的に悩んでます。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=60&choice=1
  プロジェクトの進め方で悩んでます。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=60&choice=2
  人づくり、チームづくりで悩んでます。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=60&choice=3
  この業界にいることを悩んでます。。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=60&choice=4
  悩みすぎて考えたくもないです。。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=60&choice=5
  それは秘密です。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=60&choice=6
  ちょっと語らせて!
     editors@ObjectClub.jp まで詳細を!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「ここ半年くらいの平均残業時間は何時間ですか?」の結果は公開
中。是非ご覧下さい。
⇒http://www.objectclub.jp/special/kininaru/vol59/PlonePopoll_results2
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┗編集後記

こんにちは、編集人です。先週の気になるアンケートでは、ここ半年くらいの
平均残業時間を聞きました。とてもたくさんの方のご協力をいただきました。
いつもありがとうございます。結果を見てみると、6〜8時間残業の方が7%弱、
常に徹夜の方が3%強、考えたくもない方が10%弱。どれだけ残業されてるので
しょう。。
この業界、残業が多いと言われてます。実際に多いと思います。残業の減少を
含め、もっと働きやすい業界になったら良いなと思います。そんな想いを込め
て、今週はプロジェクトファシリテーションの記事2本でお送りしました。みな
さんのHappyに向けて、少しでもお役に立てれば嬉しいです。

今週の強引な一言
*** 京に田舎あり(ことわざ)***
アジャイルプロセスって、最近出てきた新しい考え方のように思われがちです
が、その実は、昔から実践されていたことの集大成なのです。みなさんも、自
身で実践されていたことを、自分たちのためにまとめなおしてみてはいかがで
しょう。  
(さとみ)
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■ 編集代表:平鍋  健児
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