Date:  Wed, 10 Nov 2004 16:33:59 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2004-41号】

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                          No.69 2004/11/10

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┣【Topics】クリスマスイベント参加者、受付中です。
┣【新発想】オブジェクト指向の再定義[2] - EoC
┣【キーワード】知ってるようで分からないビジネスワード勉強会[14]「ISMS」
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

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 〇  クリスマスイベント参加者、受付中です。
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┗【新発想】オブジェクト指向の再定義[2] - EoC

前回は、EoT(Ease of Testing: テスト容易性)によってよいオブジェクト指向
設計を再定義したい、という表明をした。今回は、二本目のナイフを抜きたい。
キーワードは、EoC(*1)(Ease of Changing)、変更容易性だ。

この記事では、

    EoCの高い設計が、よいオブジェクト指向設計である。

と主張したい。設計品質の中で、「変更容易性(EoC)」を最上位と見る。

ここ20年のオブジェクト指向の最大の失敗は、「再利用性」をその最大の価値、
として説明しようとしてきたこと。そして分かったことは、再利用がその努力
コストに見合う効果がでることは極めて稀であること、また、テクノロジでは
なくソーシャルな活動が再利用に効くこと、さらに、コードの再利用ではなく、
ナレッジの再利用(例えばパターン)の方が、まだ可能性があるということ
(少なくとも2004年では)。

再利用性ではなく「変更容易性」に注目すべきだ。Kent Beckの "Embrace Change"
であり、Bertland Meyer の "Build Software for Change" である。変更容易
性を高くしてソフトウェアを作れば、再利用性よりもコスト削減できる可能性
が出てくる。

オブジェクトを切り出すときに、「責務」とか「凝集度」と従来言われている
「概念の輪郭と中心を決めるもの」を「変更要因」と呼びかえる。外部の変更
要因をカプセル化してクラスとするのだ。1つの変更要因が、1つのクラスに閉
じるように。変更を伝播させてはならない。

また、アーキテクチャは、変更の頻度、または、変更の安定度にしたがってク
ラス群の大域構造を決める活動だといえる。変更周波数を分析し、その順にパッ
ケージを並べる。こうして、変更周波数の高い方が低いほうに依存するように
する。MVCやBCEというアーキテクチャルな分割は、これに意味を付与したもの
だが、この本質は変更要因の(時間ドメインでの)周波数だ。

大きな外部の変更は大きな内部変更で、小さな外部の変更は小さな内部変更で
済ませられること(小さな外部の変更が、大きな内部の変更にならないこと=
Meyerのアーキテクチャ連続性)。この技術がオブジェクト指向設計であり、そ
のためには、ソフトウェアの外部の問題構造とソフトウェア内部の解構造がダ
イレクトマッピングされている必要がある。すなわち、外部の言葉で内部が設
計されており、外部の変更要因が、うまく内部の対応部分で吸収できる必要が
ある。

まとめよう。EoCにしたがってソフトウェア設計を捕らえると、

・ソフトウェア外部の変更可能性を分析して、ソフトウェアの大域構造を決める。
・ソフトウェア外部の個々の変更要因をクラスとして取り出す。(そのために、)
・ソフトウェア外部の問題領域の言葉で内部のモデルを構築する。

となる。(平鍋)

[1] EoC: Ease of Changing、変更容易性。Modifiability に替わる平鍋の造語 
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┗【キーワード】知ってるようで分からないビジネスワード勉強会[14]「ISMS」

こんにちはhiroshiです。今回はISMSについてご紹介です。

ISMSとは「情報セキュリティマネジメントシステム」(Information Security 
Management System)の略です。その中身は、企業や組織が自身の情報セキュリ
ティを確保・維持するために、ルール(セキュリティポリシー)に基づいたセ
キュリティレベルの設定やリスクアセスメントの実施などを継続的に運用する
ためのマニュアルです。簡単にまとめると、情報セキュリティを保つ為にどの
ように活動していくかをまとめた物と考えています。機密性、完全性、可用性
をキーワードとしてバランスよく維持し改善してことを謳っています。

機密性、完全性、可用性の意味は以下のようになっています。

●機密性:アクセスを認可された者だけが、情報にアクセスできることを確実
          にすること。
●完全性:情報および処理方法が正確であること及び完全であることを保護す
          ること。
●可用性:認可された利用者が、必要なときに、情報及び関連する資産にアク
          セスできることを確実にすること。

それではISMS(運用マニュアル)を確立するまでを6段階で説明してきます。セ
キュリティを保つ為には、対象の情報資産は何か、どのようなレベルに保つの
か、保つ為にはどのような活動をするのか、を決める必要があります。

 STEP1:情報セキュリティポリシーを策定する
 STEP2:その中でISMSの適用範囲を定義する
→ 対象の情報資産の決定

 STEP3:STEP1に基づきリスクアセスメント(評価)を実施する
 STEP4:ISMSのもとで管理するリスクを決定する
→ どのようなレベルに保つのかを決定

 STEP5:最適なリスク評価に基づき、実施すべき管理策を選択する
 STEP6:適用宣言書を作成し選択した管理策を公表する
→ 保つ為のどのような活動をするのかを決める

STEP6で公表された提供宣言書に基づきISMSが運用されていきます。

さらにはISMSの認定取得を希望する事業者は、日本情報処理開発協会(JIPDEC)
の指定する審査登録機関に、認定取得に当たっての申請を行い、ISMSに基づく
審査と監査を受けます。審査機関からの結果報告を受けて、JIPDECが事業者を
認定済み事業者としての登録を行います。

最近はこのような情報資産などにたいするセキュリティの認定を取得する企業
が増えてきています。他の認定制度ですが、あるレベルを満足していない企業
は政府調達を得られないなどの制約が付いてくるようです。実施する方は大変
ですが、非常に重要なことと感じました。(hiroshi)
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「職場の自分用のスペースはどのくらい?」のホントのところ。読者の
方からのリクエストです。今現在働かれている、自分専用のスペース、どのく
らいありますか?

  両手を広げてもまだ余ります。
     http://www.ObjectClub.jp/cgi-bin/question.cgi?Z001+34+0
  だいたい両手を広げたくらいです。
     http://www.ObjectClub.jp/cgi-bin/question.cgi?Z001+34+1
  片手は広げられます。
     http://www.ObjectClub.jp/cgi-bin/question.cgi?Z001+34+2
  マシン1台と多少の余裕です。
     http://www.ObjectClub.jp/cgi-bin/question.cgi?Z001+34+3
  マシンがなんとか置けるスペースのみ。
     http://www.ObjectClub.jp/cgi-bin/question.cgi?Z001+34+4
  自分用のスペースなんてないです。。
     http://www.ObjectClub.jp/cgi-bin/question.cgi?Z001+34+5
  それは秘密です。
     http://www.ObjectClub.jp/cgi-bin/question.cgi?Z001+34+6
  ちょっと語らせて!
     editors@ObjectClub.jp まで詳細を!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「オブLOVEイベント興味がありますか?」の結果は公開中。是非ご
覧下さい。⇒http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru
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┗編集後記

こんにちは、編集人です。先日、都内の山へ紅葉狩りに行ってきました。まだ
ちょっと早かったようです。そう感じてるのに、街はちらほらクリスマスめい
てきましたね。イルミネーションが灯ったり、クリスマスツリーがお目見えし
たり。星に願いを☆じゃないですけど、今はオブLOVEクリスマスイベントの無
事開催を祈るのみです。

今週の強引な一言
*** プロダクトアウトからマーケットインへ(ビジネス用語)***
どんなにシステムの構築方法に精通しても、顧客のニーズを理解しなければ、
良いシステムは作れません。顧客のことをもっと理解しましょう。
(さとみ)

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● ご意見、ご感想は         ⇒このメールに返信ください
〇 配信中止、アドレス変更は ⇒http://www.ObjectClub.jp/community/object_ml/help/
〇 免責事項、過去の記事は   ⇒http://www.ObjectClub.jp/community/object_ml/
■ 発行:オブジェクト倶楽部 ⇒http://www.ObjectClub.jp/
■ 編集代表:平鍋  健児
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