Date:  Wed, 25 Aug 2004 12:32:36 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2004-31号 】

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                          No.59 2004/08/25

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┣【見積もり手法】実践!ソフトウェアの見積もり手法[3]
┣【ツール】Mavenではじめるプロジェクトドライブ[5]
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

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┗【見積もり手法】実践!ソフトウェアの見積もり手法[3]

さまざまな見積もり手法を知ろう!(その1)

□ 前回のおさらい
前回(メルマガ56号:2004/08/04)は、ソフトウェア見積もりの重要性につい
てお話しました。モダンプロジェクトマネジメントでは、良い見積もり(精度
の高い見積もり)がプロジェクトの成功の鍵を握るというお話でした。つまり、

「見積もり精度が向上する」
a「計画の質が向上する」
   a「プロジェクトマネジメントがコントロールしやすくなる」
      a「プロジェクトが成功する可能性が高くなる」

という図式になるわけです。
本連載では、「開発規模」および「開発工数」の一般的な見積もりにフォー
カスした話題を扱うことは、前回お話しました。
今回からいよいよ、さまざまな「見積もり手法」をご紹介していきます。今
回から数回にわたり、「開発規模」および「開発工数」に関する、以下の見
積もり手法をご紹介していく予定です。
・「デルファイ法」
・「ファンクションポイント法」(FP)
・「COCOMO(COnstructive COst MOdel)」
・「WBSによるボトムアップ見積もり法」
・「ユースケースポイント法」(UCP)

□ 特徴と目的
見積もり手法をご紹介していく前に、それぞれの見積もり手法の特徴と目的
について整理してみます。以下の2つの視点で分類すると、表のように整理さ
れて分かりやすくなります。

- 客観的/主観的
<客観的>システムの特徴を客観的な基準で抽出することにより、定量的に
        見積もりを行う手法
<主観的>知識・経験・過去の実績をより重視した見積もり手法

- 開発規模/開発工数
<開発規模>開発するソフトウェアに直接関係する尺度であるソースコード
         の行数LOC(Source Lines of Code, SLOCとも表される)による見
         積もり手法
<開発工数>(人数×時間),(人数×日),(人数×週),(人数×月),(人数×年)
などの作業時間による見積もり手法

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       ┃客観的    ┃主観的    ┃
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃開発規模┃FP        ┃デルファイ┃
┣━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃開発工数┃COCOMO/UCP┃WBS       ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛

□ デルファイ法[*1]
今回は、「デルファイ法」をご紹介します。
デルファイ法は、先ほど分類したように「経験・実績ベース」の見積もり手法
で「開発規模」を推定するものです。複数の専門家(開発経験者)に「開発規模」
の見積もりを複数回依頼し、収束した値を採用する方法です。具体的には、以
下の手順を実施します。

[手順1]何人かの専門家に個別に仕様書を渡します。
[手順2]専門家のグループが集合し、開発規模見積もり時の問題点を議論しま
    す。
[手順3]各自個別に見積もりを行い、無記名で結果を提出します。
[手順4]見積もりの調整者は、結果を集約し、専門家グループに配布します。
[手順5]専門家のグループは再度集合し、[手順4]の結果を議論した上で専門家
    は各自、再見積もりを行います。
[手順6][手順3]および[手順4]を繰り返し実施します。この作業は、専門家グ
    ループの見積もり値が許容範囲に収まるで実施します。 

「デルファイ法」は、仕様書の内容(ソフトウェアの構成要素)がある程度明確
であれば、個人で開発規模の見積もりを行うよりも、精度の高い見積もり値を
得ることが期待できます。

□ まとめ
見積もり手法を、2つの視点(客観的/主観的、開発規模/開発工数)で分類しま
した。特徴と目的が分かりやすくなったのではないでしょうか。そして今回は、
「デルファイ法」のご紹介をしました。個人で見積もるよりも複数の専門家の
意見を集合したほうが、より精度の高い見積もり値が得られることは、直感的
に理解していただけるのではと思います。

□ 次回の予告
次回は、「ファンクションポイント法」をご紹介します。「ファンクションポ
イント法」は「デルファイ法」と同様に「開発規模」を推定する手法ですが、
客観的な視点でシステムの特徴を抽出して見積もりを行うという点においては、
「デルファイ法」と異なる手法と言えます。次回をお楽しみに。(中村)

[*1] ソフトウェアプロセス成熟度の改善 日科技連
[*2] International Function Point Users Group http://www.ifpug.org/

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┗【ツール】Mavenではじめるプロジェクトドライブ[5]

前回はMaven-1.0のリリースを記念して、番外としてMaven-1.0情報をお届けし
ました。今回から2回に分けて、Mavenの持つ機能でも実践的な部類に入るマル
チプロジェクトについての解説をします。まず第1回目の本稿では、プロジェ
クト規模が大きくなる際の弊害について、プロジェクトの構造、粒度、依存性
に着目した分割指針、Mavenのマルチプロジェクトを使うメリットについて解説
します。

マルチプロジェクトとは、Mavenizeされた 複数のプロジェクトを1つのプロ
ジェクトのように扱い、コンパイル、リリース、インストール、レポーティン
グなどの各種ゴールを実行するための機能です。Mavenのほとんどの機能と同
様に、マルチプロジェクトもプラグインによって実現されています。もちろん、
標準組込のプラグインなので、Mavenをインストールしておけばすぐに使用で
きます。

続きはこちらです。
⇒http://www.objectclub.jp/technicaldoc/tools/maven/maven05/

(懸田)
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「健康診断はいつ受けますか?」のホントのところ。

春です。
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冬です。
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健康診断はうけません。
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それは秘密です。
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ちょっと語らせて!
  editors@ObjectClub.jp まで詳細を!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「この夏、泳ぎに行きましたか?」の結果は公開中。是非ご覧下さ
い。
⇒http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru
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┗編集後記

こんにちは、編集人です。
最近、会社で受けた健康診断の結果を手にしました。私の友人たちも同じ時期
に結果を受け取ったようで、それぞれに一喜一憂していました。読者のみなさ
んの中にも結果を恐れている方、多いのではないでしょうか。ふと、学生の時
は健康診断の結果を手にしても、それほど気にする人なんていなかったのになー
と思い、自分が年をとった気分になってしまいました。男性の皆さんは特に肝
臓の調子を気にしている方が多いですよね。私の友人に、2週間禁酒をして、万
全の態勢で臨んだはずなのにひっかかったというツワモノがいましたよ。某ラ
イターいわく、肝臓は怖いらしいので、皆さん気をつけてくださいね。

ということで、今週のアンケートは健康診断についてです。みなさんの投票、
お待ちしております。

今週の強引な一言
*** 飢えては食を選ばず(ことわざ)***
プロジェクトが行き詰って、閉塞感を感じるときあなたならどうしますか。う
たい文句を信じて、新技術に飛びつくのだけはやめましょう。それがXPやオブ
ジェクト指向であってもです。解決策は、自分たちの中にきっとあるはずです。
できることから少しずつ。銀の弾丸なんてないのですから。
(めぐみ)

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〇 免責事項、過去の記事は   ⇒http://www.ObjectClub.jp/community/object_ml/
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■ 編集代表:平鍋  健児
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