Date:  Wed, 21 Sep 2005 20:31:58 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2005-34号】

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                          No.109 2005/09/21

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┣【PM】プロジェクトマネジメント入門[26]
┣【PF】アジャツール - Agileなツール紹介[3]
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

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┗【PM】プロジェクトマネジメント入門[26]

「プロジェクトマネジメント入門」です。
前回は、ファンクションポイント法(FP法)の概要をお話ししました。今回は、
その特徴と適用分野についてお話しします。

FP法は、外部仕様(データフローダイアグラム、ERダイアグラム)から機能要
件をファンクションポイントという尺度を使って定量的に表し、このファンク
ションポイントに係数をかけて、ステップ数や工数などを求めていきます。

●特徴
開発するソフトウェアの規模は「処理するデータの複雑度」と比例すると考え
るのがFP法の特徴です。

それぞれの処理(ファンクション)ごとにデータの種類や項目数、構
造から複雑度を「高い」、「普通」、「低い」の3段階程度に分類、加重計算し
た後、合計したものをファンクションポイントとします。つまり、処理するデー
タが複雑であればファンクションポイントが増加します。データの処理数が多
くなれば、ファンクションポイントも増加します(詳細な計算方法については
後日お話します)。

算出するファンクションポイントは、算出方法が明確なので、誰が算出しても
異ならないこと、また、比較的短期間で算出できることも特徴です。

ただし、良いことばかりではありません。ファンクションポイントの算出精度
は、算出のベースとなった外部仕様の出来にかかってきます。開発初期の段階
などで精度の低い(粗い)外部仕様の場合は、精度の低いファンクションポイ
ントとし、その後、徐々に外部仕様の精度を上げながら、その都度、ファンク
ションポイントを算出し見積精度を上げていくことが適当でしょう。

●適用分野
FP法は処理するデータの複雑度から見積るので、データとそのデータの処理方
法を見据えた開発アプローチをするシステムに適していると考えられます。つ
まり、あるデータを入力とし、他のデータを参照しながら、ロジックに従って
計算しデータを出力するというシステムです。
このことから、ビジネス分野向けのアプリケーション開発に適していると考え
られます。これに対して、外部からのイベントにより状態を遷移しながら決め
られた処理を行うような、組み込み・制御分野への適用には工夫が必要かと思
います。

次回は、算出方法について話をします。(事務局長)
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┗【PF】アジャツール - Agileなツール紹介[3]

●はじめに

今回のアジャツールは、ツールと言いながら本の紹介です。まぁあまり気にし
ないでください。本といっても、いわゆるこの業界の本ではありません。ソフ
トウェア業界が参考にしていることもある建築業界の本なのです。筆者は、こ
の本を手にとったときに「やられた!!」と感じました。なぜなら、この本に
は私が求めていた、しかし世の中には書籍としてはあまり存在しなかった内容
が込められていたからです。

●プロジェクト・ブック

その本の名は「プロジェクト・ブック」[*1]です。まず体裁がソフトウェア業
界の本とは違い、スタイリッシュです。変形サイズの正方形に、手書きの題字、
そして各ページにはポイントをおさえた文章と、内容をイメージした画像を背
景にデザインしています。おそらくこういったデザインの本を手に取ると、ソ
フトウェア業界の人は「アートな感じ」がして敬遠してしまうのではないでしょ
うか。しかし、内容が柔らかいので、気軽に読みすすめたり、気が向いたとき
にパラパラと眺めやすいです。

「プロジェクト・ブック」というタイトルからは、「プロジェクトマネジメン
トの本?」「プロジェクトの定義が延々論じられている?」などと、あらぬ想
像をしてしまう人もいるかもしれません。しかし、このプロジェクト・ブック
は、「創造行為」を行うために、複数の人間が共同作業を行う「プロジェクト」
を進める際のプラクティス集なのです。

●創造するという行為

プロジェクトブックの冒頭に「プロジェクト・ブックの使い方」というページ
があります。このページは次のようなことが書かれてあります。

  僕たちは、それら建築デザインの本に多く見られる事例収集、分析的なアプ
  ローチを学ぶことでは、真の意味での「創造」に至るダイナミズムは生まれ
  得ないと考えている。「創造」を「モノ」として切り出すのではなく、身体・
  環境・時間を含み込む「コト」として取り出すこと、それがこの本の目的で
  ある。

なかなか難しい一文ですが、私は「創造」の結果できる「モノ」として捉える
のではなく、創造は、行為者である人間の身体や、その環境、そこに流れる時
間などの「コト」をくぐり抜けた結果として捉えるのが重要なんだ、という理
解をしました。

●ツールじゃないけど

この本の見た目は実際に書店で手にとって見ていただくとして、その内容を一
言で言うならば「アジャイル」です。また方向性としては、プロジェクトファ
シリテーションとも近い点が多々あります。筆者が強く共感したのは、例えば
「疲れている時には15分寝る」といった人間の身体的な面をも含めたプラクティ
スが含まれている点です。「そんなことはあえて含める必要はない」と言われ
てしまえばそれまでです。しかし、複数の人が協調して効率良く仕事をするた
めに必要なプラクティスを、ジャンルを問わず貪欲に盛り込んでいるという点
が、既存の制約にとらわれない自由な発想がもたらした構成であると感じまし
た。

ちなみに筆者がお気に入りのページは「29. トラッカー」です[*2]。ここの解
説ページに、トラックを運転しているドライバーの写真が載っています[*3]。
ここでは、トラッカーを「非常に重要であるが、メタレベルな作業のためにつ
い、おざなりにされてしまう」役割であると解説しています。そして、このよ
うな締めの言葉を記述しています。

  トラッカーをチームに加えよう。トラッカーは決して後ろを振り返るための
  仕事ではなく、前進するための推進力を生み出す仕事であると心得よ。

その他にも、珠玉の言葉が満載です。ぜひ手にとってみてください。(懸田)

[1]:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4395241018/xpjp-22/

[2]:XPなどで定義されている、プロジェクトについての様々なメトリクスを収
    集するロールのこと

[3]:もちろんこの写真は「トラッカー」と「トラックの運転手」をひっかけて
    いるんですね:-P
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「解像度はいくつですか?」のホントのところ。毎日使用するものなの
で、みなさんこだわりがあるのではないでしょうか。マウス、キーボードに関
するアンケートに引き続き、今回は解像度に関する質問です。みなさん、解像
度はいくつですか?

  640 X 480以下。
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  800 X 600。
      http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=75&choice=1
  1024 X 768。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=75&choice=2
  1152 X 864。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=75&choice=3
  1280 X 1024。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=75&choice=4
  1400 X 1050。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=75&choice=5
  1600 X 1200以上
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=75&choice=6
  上記以外。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=75&choice=7
  それは秘密です。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=75&choice=8
  ちょっと語らせて!
     editors@ObjectClub.jp まで詳細を!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「選挙に行きましたか?」の結果は公開中。是非ご覧下さい。
⇒http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vol74/PlonePopoll_results2
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┗編集後記

こんにちは、編集人@南国です。ちょっと遅い夏休みをいただいております。
自然に囲まれて、癒されながらお送りしてみました。みなさんの元にも、この
メルマガで何かしらの癒しが届きますように。

今週の強引な一言
*** 馬耳東風(ことわざ)***
いかに大切なことでも、相手にわかる言葉を使わなければ伝わらないわけです。
伝わらなくては、どんな言葉も意味がありません。相手が理解でき、受け入れ
られる言葉を使ってコミュニケーションしていますか?
(さとみ)

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■ 編集代表:平鍋  健児
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