Date:  Wed, 31 Aug 2005 12:33:09 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2005-31号】

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                          No.106 2005/08/31

■ I N D E X
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┣【Topics】オブラブメンバーによる雑誌・Web記事公開!
┣【設計】ソフトウェアのお言葉[7] - テストファースト
┣【PF】アジャツール - Agileなツール紹介[2]
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

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 〇  オブラブメンバーによる雑誌・Web記事公開!
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先週はオブジェクト倶楽部メンバーが関わった記事がたくさん発売・公開され
ました。

  ・JavaWorld JavaOne 2005 Report
  ・JavaWorld 特集2 JUnitスーパーTips
  ・日経ソフトウエア 実践的オブジェクト指向設計のコツ
  ・@IT 初めてのプロジェクトリーダー(7)

メンバーが関わった記事の紹介ページを更新しました。こちらからご覧くださ
い。http://www.ObjectClub.jp/technicaldoc/bookguide/magazine

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┗【設計】ソフトウェアのお言葉[7] - テストファースト

こんにちは、天野勝です。
今回のお言葉は「テストファースト」です。Extreme Programming(XP)を、知る
うえで忘れてはならない、このお言葉を、今回も筆者の独断と偏見で、解釈、
解説してみます。

ソフトウェア開発において「テスト」といえば、開発工程の後半に、完成した
はずのプログラムを動作させて検証する[*1]というのが、一般的な考えです。
しかし、テストファーストでは、この順番を逆転させるです。逆転といっても、
さすがにテスト対象がないとテストを行えませんので、実際には、先にテスト
を考え、テストの準備をするにとどまります。テストファーストというと、
「製品コードを書く前に、ユニットテストコードを書くこと」を指すことが多
いですが、広義ではこのように製品を作る前から、テストのことを考えること
を指します。

テストファーストによって、製品の作り方が変わります。どう動かすかという
実装よりも先に、どうあるべきかというインタフェースに意識が先に集中する
ようになります。顧客の視点に近づくので、作り方よりも先に、どう使われる
かが考えられるようになってきます。これだけではなく、作りそのものも影響
を与えます。いかにテストしやすくするかを考えるようになります。粒度が大
きいモジュールよりも、小さいモジュールのほうがテストが行いやすいので、
モジュールサイズを小さく設計するようになります。モジュール内にテスト用
のからくりを設けるというアプローチもよいでしょう。

また、製品だけではなく、プロジェクト支援組織との関わり方にも影響を与え
ます。品質保証を担当する組織が係わるのが、プロジェクトの後半だけではな
く、プロジェクトの初期から終わりまで係わるようになります。顧客から直接
インタビューして、非機能要件をまとめたり、テストの実施方法や、システム
テストなどの観点から開発メンバーに対して、アドバイスすることが求められ
ます。対立しがちな関係が、協力的な関係に変わってきます。

そして、人の行動にも影響が出てきます。いわゆるゴール指向になってきます。
目標を決めて、そこへいかに素早く、確実に到達するようにという考え方になっ
てきます。

このようにテストファーストという活動を通して、製品、プロジェクト、人に
変化が出てくるのです。これは経験した人でないと理解できないかもしれませ
ん。まるで、修行僧が修行を通して悟りを啓くかのようです。永平寺を開いた
道元和尚の教えに「修せざれば現われず」というのがあり、この言葉を思い出
しました。ちなみに、永平寺は弊社の本社がある福井県にあるお寺です。
(天野勝)

[1]:テストとは名ばかりで、デバッグをしているというのが現実かもしれませ
    ん
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┗【PF】アジャツール - Agileなツール紹介[2]

●はじめに

前回は筆者の独断と偏見で「Agileなツール」の定義をしてみました。今回は
「アジャツール」の定義をふまえて「スケッチブック」を取り上げたいと思い
ます。

●スケッチブックとは

わざわざ「とは」と書くまでもなく、まぁ絵を描くための画用紙ですね。安い
物は100円から、高い物になると1000円以上するものもあります。筆者がよく
使っているのは、マルマンのスケッチブック(B4)です [*1]。スケッチブック
は厚手の紙を使用しているため、スケッチブック単体だけでも下敷なしに書き
込むことができます。リング綴じなので、使用しない面を返して書くことがで
きるため重宝します。紙が厚いので、両面使用することが簡単です。大きさは
大きければ大きいほどよいのですが、持ち歩きなどの考えるとB4が現実的なサ
イズでしょう。

●使い方

スケッチブックの使い方としていくつかの用途がありますが、その代表的な使
い方を紹介します。

(1) アイディアの記録媒体として

筆者は主にマインドマップを使って、1人作業の場合の作業の洗い出し、問題
抽出、方針決定、などを行います。また、UMLを使ったモデリングもスケッチ
ブック上で行うことが多いです。その際にスケッチブックにマインドマップや
UMLを描いて考えるのです。もちろんB5やA4のノートでも構いませんが、紙の
サイズはより広いほうがゆったりと描けます。また色をつけるために水性マー
カーなどを使用するため、ある程度の紙の厚みがあったほうが裏写りが防げて
よいです。またスケッチブックは無地です。自由に筆を伸ばせる無地のスケッ
チブックはアイディアを記入する媒体として非常に適していると思います。

(2) ホワイトボード代りとして

複数人でなんらかの議論を行う際に、スケッチブックをホワイトボード代りに、
水彩ペンで書きながら議論を勧めます。もちろん、会議室にホワイトボードが
あったり、携帯サイズのホワイトボードがあったりすればそれでよいのですが、
ホワイトボードがない環境や、ホワイトボードの永続化(=コピー)ができない
環境では、スケッチブックが重宝します。紙のサイズがそれなりに大きいため、
テーブルの真ん中に置いて複数人で書き込みするということも可能です。

(3) メモ帳代りとして

「思考の表出」といった大袈裟な言葉を使わなくても、単なるメモ帳としても
使うことができます。ただしメモ帳として使う場合は、一度に多くの情報をメ
モする必要がある場合のほうがより友好的に活用することができます。一度に
ちょっとしかメモしなような用途だと、1ページに1回分のメモでは使用効率が
あまりにも悪すぎます。例えば1枚を4つのエリアに分割して使用する、などの
工夫が必要です。

●描いて考える、見せる

最近、筆者が意識しているのは「描いて考える」ことです。これはマインドマッ
ピングもそうですし、プライベートライティング [*2] という技法を使って、
とにかく頭の中にあるもやもやとした考えを紙に描きだすこともそうです。も
ちろんPCを使ってテキストエディタや、ワープロソフト上で書くことでもいい
のですが、筆者は手描きを好んで使っています。手描きは鉛筆を使わない限り
Undoが効かないのが難点ですが、失敗も含めてデジタルよりも思考過程を記録
できることも特徴です。

先日、雑誌の記事で「渋谷で働く社長の告白」の著者であり、(株)サイバーエー
ジェントの代表取締役である、藤田晋氏が、マルマンのスケッチブックを片手
に社内を練り歩き、所々でアイディアをスケッチブックに書き、社員に説明し
ているという話が掲載されていました。スケッチブックを持ち歩くことによっ
て、アイディアの「速記と表出化」を、周りの人間と一緒にできるように準備
しているのかもしれません。

常に自分のアイディアを表出化して共有するためにスケッチブックを持ち歩く、
これは十分「アジャツール」なのではないでしょうか。

●補足

私が使用しているスケッチブックはマルマンの「図案印刷スケッチブックS120 
B4」です。使用したことはないですが、同じマルマンの「ソーホーブック 
SOHO200A 大」はサイズがB4で、リング綴じで画用紙が60枚セットのようです[*3]。
(懸田)

[1]:http://webshop.sekaido.co.jp/catalog/product_info.php?cPath=40_62_170&products_id=1107

[2]:考えたことをそのまま紙に書き写す技法

[3]:http://webshop.sekaido.co.jp/catalog/product_info.php?cPath=40_62_170&products_id=719
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「いつも使っているマウスに、いくつボタンがありますか?」のホント
のところ。毎日使用するものなので、みなさんこだわりがあるのではないでしょ
うか。ホイールが押せるものはそれもひとつと数えてください。

  1つ。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=72&choice=0
  2つ。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=72&choice=1
  3つ。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=72&choice=2
  4つ。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=72&choice=3
  5つ。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=72&choice=4
  6つ。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=72&choice=5
  7つ以上。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=72&choice=6
  マウスは使いません。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=72&choice=7
  それは秘密です。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=72&choice=8
  ちょっと語らせて!
     editors@ObjectClub.jp まで詳細を!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「1日にどのくらい水分を摂っていますか?」の結果は公開中。是非
ご覧下さい。
⇒http://www.objectclub.jp/special/kininaru/vol71/PlonePopoll_results2
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┗編集後記

こんにちは、編集人です。
前号発行の際には体調を崩してしまいましたが、完全に復活です。ご心配をお
かけいたしました。今日、8月31日は野菜の日だそうです。健康の基本は食にあ
り。まだ暑い日が続きそうですが、しっかり食べて、体調にお気をつけくださ
いね。

今週の強引な一言
*** 下手な考え休むにしかず(ことわざ)***
要求モデル、設計モデル等が妥当かは、モデルだけを詳細に検討してもわかり
ません。実際に動作するソフトを作って、検討しましょう。
(さとみ)
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● ご意見、ご感想は         ⇒このメールに返信ください
〇 配信中止、アドレス変更は ⇒http://www.ObjectClub.jp/community/object_ml/help/
〇 免責事項、過去の記事は   ⇒http://www.ObjectClub.jp/community/object_ml/
■ 発行:オブジェクト倶楽部 ⇒http://www.ObjectClub.jp/
■ 編集代表:平鍋  健児
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